股関節・膝の痛み
股関節・膝の痛み
変形性股関節症は、股関節の軟骨が変性し、関節が破壊・変形する進行性の疾患です。股関節に障害が起きると、関節痛や可動域の制限が生じ、病気が進行すると歩行に支障をきたし、日常生活が制約されるようになります。変形が進行すると保存的治療だけでは難しく、骨切り術や人工関節置換術などの手術が必要となります。
女性が多く罹ることがあり、股関節の形成不全や体重増加が原因とされます。近年では高齢化が進み、年齢によって発症するケースも増加しています。
変形性股関節症の主な症状は、股関節の痛みと機能の障害であり、日常生活に支障をきたします。長時間の立ち上がりや歩行が難しくなり、夜間にも痛みが生じます。階段の昇降やしゃがみこみが難しくなり、足の爪切りや靴下の着脱、正座などが難しくなります。
変形性股関節症の治療の内容は大きく分けて保存治療と手術治療に分けられます。
負荷を減らすための生活指導が行われます。股関節にかかる負担を減らすため、重量物の制限や運動療法が行われます。痛みがある場合は歩行補助具の使用も検討されます。有酸素運動や筋力トレーニング、ストレッチも有効です。
保存療法が効果的でない場合や症状が進行する場合は手術が検討されます。骨切り術や人工関節置換術などが行われ、関節の機能を改善させます。
臼蓋形成不全は、股関節における大腿骨のボール状の部分を覆う臼蓋が発育不全で大腿骨を十分に覆えない状態を指します。この状態になると、局所的な力が加わり、股関節の軟骨がすり減り、変形性股関節症に進行する可能性があります。日本人に多く見られ、男性は0~2%、女性は2~7%がこの症状にかかると言われています。症状は成長期を過ぎてから現れ、ハイヒールを履く20~30代の女性に特に見られることがあります。
臼蓋形成不全の原因は、生活習慣や遺伝的な要因、成長過程での後天的な影響、先天的な股関節脱臼によるものがあります。特に、幼少期から小児期における骨の成長過程で特有の股関節の運動や使い方が、骨盤の発育を妨げる可能性があります。
初期段階では股関節に違和感や痛みが生じ、特定の姿勢で痛みを感じることがあります。進行すると軟骨のすり減りにより明確な痛みが現れます。
臼蓋形成不全の治療の内容は大きく分けて保存治療と手術治療に分けられます。
・保存療法
症状が軽い場合は、痛みを悪化させないような使い方を心がけることが重要です。鎮痛薬や杖の使用も検討されます。運動療法として水中歩行や水泳も有益です。
・手術療法
保存療法が不十分な場合や症状が進行している場合は手術が考慮されます。初期段階では骨切り術が選択され、進行が著しい場合は人工関節置換術が検討されます。
特発性大腿骨頭壊死症は、大腿骨の上部にある大腿骨頭の一部が原因不明の血流低下により壊死し、関節が変形・破壊される疾患です。発症は主に30〜50代に多く見られ、年間約2000人〜3000人が罹患し、厚生労働省の特定疾患に指定されているため、医療費の患者自己負担分は公的な助成を受けることができます。
男性ではアルコールの摂取が、女性ではステロイド剤の服用が原因とされていますが、詳細な原因はまだ解明されていません。
初期段階では何も症状が現れませんが、大腿骨頭に圧潰が生じた際に痛みが発生します。発症から数か月〜数年は症状が現れないこともあり、進行しないケースもあります。進行すると歩行時や階段の上り下り時に股関節部に痛みが生じ、安静時にも痛みを感じ、日常生活に支障をきたすことがあります。
特発性大腿骨頭壊死症の治療方法は、主に保存療法と手術療法に分けられます。
歩行時の杖の使用、体重の管理、筋力維持のためのストレッチやトレーニング、負荷のかかる運動の制限、鎮痛薬の使用などが含まれます。
大腿骨頭の壊死範囲により異なります。壊死範囲が限定的な場合は、骨切り術が選択されます。一方、壊死範囲が大きい場合や高齢者の場合は、人工関節置換術が必要となることがあります。
鼠径部痛症候群は、通常の日常生活では感じない痛みが、運動時に鼠径部や太ももの内側、下腹部に生じる疾患です。主にサッカーや他のスポーツで足関節などの怪我をした後、十分な回復をせずに活動を再開した際に発生することが多く、ランニングや起き上がり、キック動作時に特に痛みを感じることがあります。
足関節の捻挫などの外傷や腰痛、体幹・下肢の過度な使用が原因で発生します。股関節や体幹の柔軟性、筋力、連動の問題があり、これらの課題を放置したまま無理な運動を続けると、鼠径部や股関節周囲、骨盤にストレスがかかり、炎症や痛みが生じます。
特有の痛みとして、圧痛や運動時の痛みが鼠径部や太ももの内側、下腹部に広がります。慢性的な場合、安静時にも痛みが生じ、特に下肢を伸ばしたり外転させる動作が痛みを引き起こしやすくなります。股関節周囲の可動域制限や筋力低下も見られます。
鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)の治療方法は、主に保存療法と手術療法に分けられます。
安静やリハビリテーションなどが行われ、問題のある可動性、安定性、協調性が評価されます。運動療法ではマッサージ、筋力訓練、協調運動訓練が行われます。
保存療法に反応がない場合、手術が検討されることがありますが、手術後の運動復帰には時間がかかることがあります。
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