肩の痛み
肩の痛み
肩腱板断裂(腱板損傷)というのは肩のインナーマッスルである腱板筋群のスジが切れてしまうという状態です。
肩腱板断裂の原因は怪我や加齢などの変化によって生じることがあります。高齢者では特に外傷がなくても肩の痛みが腱板断裂に関連していることがあります。一方で、転倒や急激な動き、肩の強い負荷がかかる状況での外傷によっても生じることがあります。
肩腱板断裂の症状は、肩を挙げた際の痛みや夜間の疼痛、肩の可動域の制限が含まれます。四十肩や五十肩としても知られ、肩が拘縮(こうしゅく)して動かしにくくなる状態が生じることがあります。ただし、腱板断裂では痛みが主体であり、拘縮は比較的少ないことがあります。
肩腱板断裂の治療には保存療法と手術療法があります。
・保存療法
切れた腱が代わりに他の腱で機能する場合、手術は不要となることがあります。この場合、注射や薬物療法、リハビリ訓練などが行われ、疼痛の緩和や機能の改善を目指します。
リハビリ療法は、専門のリハビリ療法士によって行われ、痛みの軽減と可動域の向上を促進します。ただし、断裂した腱は自然につながることはありません。
・手術療法
75歳未満で腕を使う仕事や運動をする方、薬やリハビリで改善が見られない場合、手術が検討されます。手術は断裂した腱を修復し、機能を回復させることを目的とします。
野球肩とは、野球などでの投球動作により生じる肩関節の痛みを伴う障害です。テニスやバレーボール、水泳などでも起こり得ます。肩関節を構成する骨や軟骨、筋肉、腱の損傷が原因です。
野球肩の原因は、過剰なストレス、不良なフォーム、全身的な要因(筋力不足や柔軟性低下)などが、動作側の肩関節に負担をかけ、損傷が発生させる要因となります。損傷は肩腱板、関節唇、靭帯など肩関節を構成する組織に生じます。
野球肩の症状は、初期は投球時の違和感や痛みが現れ、違和感がある程度では投球は可能ですが、痛みが強くなると本来のパフォーマンスが難しくなります。進行すると日常生活でも痛みや機能障害が現れ、フォームの変更などでプレーを続けることが難しくなります。
野球肩の治療には保存療法と手術療法があります。
・保存療法
野球肩の治療は、保存的療法が基本となります。ノースロー調整や投球リハビリにより数週間から数か月の期間で痛みが軽減。リハビリではフォームの見直しや体幹トレーニングも行います。
・手術療法
リハビリが効果的でない場合や再発が続く場合に手術が選択されることもあります。
肩関節脱臼とは、肩が外れる状態を指します。肩関節は、肩甲骨の関節窩にボール状の上腕骨頭があり、激しい衝撃でこのボールが外れることを脱臼と呼びます。特に若い年齢層では、一度脱臼すると繰り返しやすく、「反復性肩関節脱臼」と呼ばれます。
外部からの強い力が関節を押し出すことで脱臼が発生します。コンタクトスポーツや転倒時の事故、日常生活での怪我などが原因となります。
肩関節脱臼の症状は、脱臼直後は激しい痛みがあり、関節の動きが制限されることがあります。神経の損傷によりしびれが生じることもあります。未治療のまま放置すると、肩が不安定になりやすく、角度によって外れそうな感覚が生じたり、再発が起きやすくなります。
肩関節脱臼の治療には保存療法と手術療法があります。
脱臼した関節を元に戻し、肩専用の装具で固定します。その後、リハビリを通じて肩の動きを改善します。
脱臼が繰り返す場合、関節包の手術が必要です。
動揺肩は、肩関節が緩んでいる状態を指し、日本で初めて定義されました。外傷による脱臼や亜脱臼の経験がなく、肩関節が自由に外れることがある特徴があります。特に生まれつき靭帯が緩い人、主に若い女性に見られます。
動揺肩の原因は、はっきりしておらず、靭帯が生まれつき緩いことが多いため、遺伝的な要因も考えられます。発症は主に思春期に見られます。
動揺肩の症状は、スポーツ時の疼痛増強、だるさ、肩甲骨周辺の鈍痛、肩から腕へのしびれ、不安定感などがあります。
動揺肩の治療には保存療法と手術療法があります。
動揺肩の治療は、主に保存治療が中心となります。
鎮痛薬や外用剤を使用して疼痛を和らげ、リハビリを通じて肩関節の可動性やバランスを改善します。
痛みが改善せず、日常生活に支障が生じる場合に手術が検討されます。
頚肩腕症候群は、首周辺から手や指にかけての筋肉のこり、痛み、しびれなどを総称する症状です。この症状が強くなると、筋緊張性頭痛(頭痛の原因)となることがあります。
頚肩腕症候群の原因は、同じ姿勢での長時間の作業(例: スマートフォンの長時間利用)、眼精疲労、運動不足、ストレスなどが挙げられます。
頚肩腕症候群の治療には保存療法と手術療法があります。
保存療法では、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤を使用し、温熱療法、電気刺激療法、肩のストレッチング、肩の体操などを併用して行っていきます。
強い症状時には、神経の働きを抑える局所注射療法や点滴治療を行います。
神経障害が確認される場合に検討されます。
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