今回も骨粗しょう症の治療~内服編~です。
前回はビタミン、SERMについて書きましたが今回は所謂骨粗しょう症薬「ビスホスホネート製剤」について書きます。
骨密度検査で70%を下回ってしまった、骨折をしてしまった等の場合は治療として内服を開始します。
骨折の既往がある方は骨密度が70%以上あっても開始する場合があります。
ビスホスホネートの働きとしては
BP製剤(ビスホスホネート)が骨表面(ハイドロキシアパタイト)に吸着される
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破骨細胞が骨吸収を行う際に酸を分泌(pHが低下)
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pHが低下することで骨表面に吸着したBP製剤が破骨細胞内に取り込まれる
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破骨細胞内でファルネシルピロリン酸合成酵素(FPPS)を阻害
↓
FPPSの阻害によってメバロン酸経路が遮断
↓
破骨細胞の機能不全がおこる(アポトーシス)
と、何のことやら難しいですが、要は「ビスホスホネート製剤は破骨細胞の働きを抑制する」ということです。
それによって骨吸収(骨が壊されること)を抑えて、骨形成を促進させます。
内服の仕方、としては
・毎日内服 ・週1回内服 ・月1回内服
のタイプがあります。
飲み方によって効果は変わりませんが、「毎日じゃないと忘れそう」や「内服は週1回程度がいい」等それぞれによって選んでいただいてよいと考えます。
ただ、通常の内服薬とは違う飲み方ですので注意が必要です。
・CaやMg等の成分を含むミネラルウォーター(ヴォルビックやクリスタルガイザー等)での内服を避ける
お茶や水道水、軟水のミネラルウォーターで内服してください。
・内服後30分間は横にならず、何も食べない
咽頭や食道への刺激を避けるためです。立ったり座ったりは構いません。
・噛んだり、口の中で溶かさない
粘膜への刺激を避けるためです。
以上が通常の内服薬と異なる点です。そのため起床時に内服するようにします。
注意が必要な副作用としては
長期内服(3~5年)の場合、
ふとももの付け根の痛み
耳の痒み、違和感(外耳道骨壊死)
胸焼け、嘔吐、吐血、みぞおちの痛み(上部消化管障害)
があります。
また、顎骨壊死を引き起こす可能性があるため、歯科治療を受ける際は必ずこの薬を内服していることを伝えましょう。
健康寿命を延ばすためにも骨粗しょう症治療はとても大切です。
一緒に頑張っていきましょう。
京都市下京区 西七条の整形外科
医療法人山川医院
山川 智